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第1回

J. S. バッハ(1685-1750 Bach, Johann Sebatian)が《ロ短調ミサ曲》BWV232を作曲したのは複数年にまたがりますが、バッハの死の前年の1749年に全曲をまとめました。しかしその作曲経緯は複雑で、《ロ短調ミサ曲》に関連のある小ミサ曲やカンタータが複数あります。第14回目の演奏会「いざ歌え、いざ祝え、4」ではそう言った楽曲を取り上げてお聴きいただくプログラムになっています。


バッハは自分が過去に作曲した作品を、歌詞やオブリガード楽器、調性まで変更して世俗曲、教会音楽に係わらず改作することがよくありました。《ロ短調ミサ曲》もそう言った楽曲が多く、それらの集大成として作られたのでしょう。


《ロ短調ミサ曲》のキリエとグロリアは1733年にザクセン選帝侯の祝賀に献呈するために作られました。(選帝侯の隣席は叶わなかったようですが…)この時の小ミサ曲BWV232Ⅰのパロディを試み、小ミサ曲から3曲を選抜して歌詞を差し替え、編曲しました。これがカンタータBW191における3楽章形式の楽曲です。


初演は1743年-1746年頃と考えられ、クリスマス初日の礼拝で演奏されました。その礼拝では、イエスの誕生とともに、羊飼い達の前に天使の軍団が降臨し、救い主の誕生を継げて唱和するルカ福音書第2章1-14節が朗読されました。(クリスマス・オラトリオでは2部のEhre sei Godの部分)天使の軍団の歌は「天のいと高きところには神に栄光あれ、御心にかなう人には地に平安あれ」で締めくくられるます。それに着目したバッハは小ミサ曲からの引用を思いついたようです。


第1曲は小ミサ曲の同名楽曲からの引用です。メロディが少し違う箇所があるのと、オーケストレーションでオーボエとファゴットが省かれています。


第2曲は原曲でDomine Deusであった楽曲の歌詞をGloria Patri et Filio et Spiritui sanctoにおきかえたものです。原曲では人の罪を内省するロ短調の合唱Qui tolis peccata mundiに続くため短調に移行しますが、転用の際に転調していく第75小節以降の20小節をカットしてあります。原曲の長大な歌詞とは逆に、二重唱の歌詞は三位一体の神を讃える短いもので、常に同じ歌詞を交わしあい、調和していると言われています。


第3曲は原曲の終曲、Cum Sancto Spirituのリズムパターンを変更してSicut erat in principioにあてたものです。原曲や《ロ短調ミサ曲》に馴染みの深い方にはリズムパターンが非常に不思議なものに聴こえるかもしれません。曲の最後はインテンポのまま壮大なアーメン唱によって締めくくられます。


次回はBWV29を深掘り!

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